ウェブ進化論

ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる (ちくま新書)

ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる (ちくま新書)

読んだ。id:umedamochioさんのサイトをチェックしているし、それほど読む必要はないだろうなと思ったけど流行ってるようだし、頭の整理に読んでみた。

ちょっと印象に残ったところを抜き出すと、

「ねぇ、アイデアマンで、どんどん次から次へとアイディアを出すタイプの人は、グーグルではどう評価されるの?」
私は友人にこんな質問をしたことがある。彼の答えが面白かった。
「アイデアの起案自身というのはほとんど評価されない。アイデアっていうのは当然、難しい問題を含むものだ。その問題を解決して、動く形にして初めて評価される。口だけの人はダメだな」

From: p.88

というのはまさにそうなんだよなーと思った。自分がこのWebサービス関連について興味を持っているのはアイデアを形にするコストが非常に低いというのに魅力を感じていて、いろいろ面白そうなネタに挑戦していきたいという気持ちがある。しかし、それを形にするだけの技術力もないし、それ以前に情報を集めたり本は読んでいるものの手が動かない。

やっぱり今の世の中は行動力が大事で、あーだこーだ言ってるだけじゃダメで、やらないとなー。

それから羽生さんの言葉で、

「ITとネットの進化によって将棋の世界に起きた最大の変化は、将棋が強くなるための高速道路が一気に敷かれたということです。でも高速道路を走りぬけた先では大渋滞が起きています」

From: p.210

というのは強烈な印象を受けたと同時に、なかなかに頭の痛くなる問題だと思った。

例えば、囲碁を始めようと思ったらインターネットで調べれば、基本的な定石などは簡単に調べることが出来るので、それを覚えていけばそこそこ強くなることが出来る。

しかし、実際はちょっとやってみたいという人にとって大量の情報をともかく記憶するというのはなかなか苦痛を伴う作業であるような気もする。そしてそういう人がYahoo!Gamesなどのオンラインで対戦してみてもみんな強いのでほとんど勝てずモチベーションが上がらないということになる。*1

まぁ結果、強くなる人というのはそのモチベーションがあって、大量の棋譜などを見て記憶してきた人たちなのだろうけど、いざ対局を進めていったときに今までに全く見たことのない手にあったときに良い対応をすることが出来るのだろうか?と思ったりする。あるいは、プロの人の逆境をひっくり返すような手を打てるようになるかというと疑問に感じる。

そこらへんは受験のテクニックなどにも感じるところであって、基本的に受験のテクニックそのものは悪いものではないと思うし点数を取るためには正しい方法であると思う。ただ例えば「問題集で分からない問題に出会ったらまず解答を見てその解法を暗記するべきだ」といったテクニックはどうなんだろう?と思う。

考えて解くような問題ではなくて単なる答えを暗記するしかないような問題であるなら問題はないと思うが、数学なんかだとどうなんだろうという気にもなる。今までで出会ったこともないような変態的な問題に出会ったときに解答の方針を立てて少しでも立ち向かうことが出来るのだろうか?

結局最後に立ちはだかる壁は個々人のメンタルな部分なんじゃないかと思う。問題を解決しようとする意欲、問題を徹底して考え抜こうとする集中力、そういったものがその壁を突破するのに必要なものじゃないかと思う。

梅田さんがこの本で主張したかったというのはここなのかなと思った。

実際この本の中ではシリコンバレーの雰囲気に関しての言及がたくさんある。

シリコンバレーにあって日本にないもの。それは、若い世代の創造性や果敢な行動を刺激する「オプティミズムに支えられたビジョン」である。

From: p.264

オプティミズムに支えられたビジョン」に基づいた問題を解決しようというポジティブな求心力がその壁を突破するのに必要なものなんじゃないかなと思った。

こんな感じでいろいろ考えてみたりしました。インターネットとは無縁の生活をしてるような人に読んでもらって話をしてみると面白いかもと思いました。

*1:自分のことですw